解剖生理学◆6.皮膚の構造と機能〜表皮・真皮・皮下組織と汗腺〜

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皮膚の構造と機能

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到達目標

皮膚の構造と機能について学び、皮膚の新陳代謝、皮膚の健康、皮膚の付属器官などを理解し説明できる。

皮膚の働き

感覚受容器、免疫器官、排泄器官、体温調節、汗や皮脂の分泌、呼吸、保湿、栄養貯蔵、外圧からのクッションなど。

皮膚の構造

 

出展:gooヘルスケア

皮膚は、全身の表面を覆っている部位。成人男性で表面積1.5〜1.8m、重量は体重の8〜16%に及ぶ人体最大の器官である。「健康のバロメーター」といわれている。

外側から、表皮、真皮、皮下組織の3層構造を持つ。また付属器官として汗腺、脂腺、毛、爪がある。表皮、真皮、皮下組織にはそれぞれの役割があり、感覚受容器、免疫器官、排泄器官としての働きに加え、体温調節、汗、皮脂の分泌、呼吸、保湿、保温、栄養貯蔵、外圧からのクッションとして身体を保護するなどの働きをする。また、水、酸素、窒素などのガス、脂溶性ビタミン類などを吸収する。

皮膚の健康は全身、とりわけ内臓の健康状態の影響を強く受ける。日頃の生活習慣、ストレス、加齢、または女性の場合は月経周期によるホルモンバランス等によっても皮膚に変化が生じる。

表皮

表皮の構造と機能

出展:リンパセラピー

表皮とは、皮膚の最上層に位置する、細胞が重層した上皮組織のこと。角質層、顆粒層、有棘層、基底層などに分けられる。角化細胞は基底層から表層へ進むにつれて変化し、角質層に至るとケラチンで満たされた角質細胞となって厚く重積する。この過程を角化といい、角化した細胞は物理的及び科学的刺激に対する抵抗力が強く、身体を保護するのに適している。表皮細胞の寿命は4週間程度で、最終的にふけや垢となって剥がれ落ちる。これをターンオーバーという。手のひらや足の裏など外的刺激を受けやすい場所の表皮はほかよりも厚く、1mm前後の厚さを持ち、角質層と顆粒層の間に淡明層が見られる。体幹など一般の皮膚では厚さ0.05〜0.01mmと薄く、基底層と有棘層がその大半を占めるが細胞の重なりは3〜5層にすぎない。

ケラチンとは?

皮膚爪、毛を構成する硫黄を含むタンパク質の総称。約20種類のアミノ酸が結合してできており、アミノ酸の組成によって、毛や爪に含まれる硬質ケラチン、皮膚の角質層に含まれる軟質ケラチンに分けられる。皮膚に強度と防水性を与え、紫外線や摩擦などの外部刺激から保護する役割を持つ。

角質層

角質細胞、天然保湿因子NMF(10〜20%)、細胞間脂質(セラミドなど)

  • 天然保湿因子NMF(Natural Moisturizing Factor)→尿素、アミノ酸、乳酸塩などの水溶性成分の混合体。角質細胞内部の水分を保持する。
  • 細胞間脂質→角質細胞間の隙間をうめる脂質。角質細胞どうしの間をはがれにくくし、水分の蒸発や異物の侵入を防ぐ働きを持つ。セラミドは親水性の部分と親油性の部分の両方を持ち、水分を保つ働きがある。

淡明層

足の裏と手のひらだけに見られる部分。角質層の下、顆粒層の上に位置する明るい帯状の層。淡明層の表皮細胞には核は認められない。

顆粒層

ガラス質の成分。2〜3層の扁平な細胞から成る層。顆粒細胞にはケラトヒアリん顆粒が含まれており、天然保湿因子の主成分になるほか、光を屈折、反射させる性質があることから紫外線を跳ね返す働きを持つといわれる。

有棘層

一番厚い層。知覚神経あり。角質層を除く表皮の大部分を占める。棘のような多数の突起により、細胞が互いに結ばれた構造を持つ。有棘層では組織液が流れて栄養が運搬されるほか、免疫にかかわるランゲルハンス細胞や基底層で産生されたメラニンが存在し、異物や紫外線から身体内部を保護している。

  • ランゲルハンス細胞…表皮の有棘層にある細胞でマクロファージの一種。食作用や抗原提示など皮膚における免疫機能の一端を担う。

基底層

基底膜を介し真皮に接しており、一列の円柱状ないし立法上の基底細胞とメラノサイトから成る表皮の最下層。基底層の表皮細胞を基底細胞という。細胞の基底面は基底膜によって真皮と固く結合している。絶えず細胞分裂が行われ、基底細胞から分裂した細胞は角化細胞として表層に向かい、有棘層、顆粒層、淡明層、角質層へと押し上げられる。

  • メラニン細胞(メラノサイト)…メラニンを産生する細胞。
  • メラニン…メラノサイトで産生される黒褐色ないしは黒色の色素。表皮最下層の基底層や毛球で賛成され、皮膚、毛髪、眼球などの色のもととなる。紫外線を吸収し、真皮への侵入を防ぐ。過剰に受けると色素沈着。
  • メラニン細胞刺激ホルモン…下垂体中葉より分泌するホルモン。皮膚を黒くする働きがある。
  • メラトニン…松果体より分泌するホルモン。皮膚を白くする働きがある。

→解剖生理学・内分泌系とのつながりを理解しよう!

真皮

真皮の構造と機能

出展:kao

真皮は、表皮と皮下組織の間の繊維成分から成る組織。乳頭層、乳頭下層、網状層に分けられる。知覚、体温調節、皮膚の弾性や強さ、潤いの保持などにおいて働く。繊維成分は膠原線維が大部分を占め、その中に弾性繊維が網の目状に分布する。網状層では繊維は太い。また、血管や自律神経、知覚神経も分布する。知覚神経の大部分は真皮にあるが、その一部は表皮に進入する。さらに、繊維芽細胞が存在し、膠原線維、弾性繊維、ヒアルロン酸など基質成分を産生するほか、ヒスタミンを分泌する肥満細胞、貪食にる異物処理を行う組織球が存在する。

  • 乳頭層…表皮の基底層に面しているうねうねしている部分。毛細血管の入っている血管乳頭と、知覚神経の終末(マイスネル小体)が入っている神経乳頭がある。
  • 網状層…皮下組織と接する、真皮の大半を占める部分。膠原線維がそのほとんど(90%)を構成し、膠原線維と弾性繊維が作る網目構造の間をヒアルロン酸などの基質が満たしている。
  • 膠原線維(=コラーゲン繊維)…繊維芽細胞により産生される、太くて丈夫な繊維タンパク質。コラーゲンを主成分とする。結合組織を構成する繊維で、腱、靭帯、骨、軟骨などに多く含まれる。また真皮の網状層の大部分を占めており、加齢や紫外線の影響などでコラーゲンが変性すると、皮膚のハリや弾力性が低下する。コラーゲンの生成維持にはビタミンCが重要である。
  • 弾性繊維…エラスチンと細繊維から成る、弾力性のある繊維タンパク質。膠原線維の網目状の部分を束ね、コイル状に巻き付いて存在する。
  • 線維芽細胞(=フィブロブラスト)…膠原線維、弾性繊維などの繊維成分とヒアルロン酸などの基質成分など、結合組織の全てを生成する細胞。皮膚の真皮に存在する。

皮下組織の構造と機能

出展:kao

皮膚の最下層に位置する結合組織。高現世にや弾性繊維の網目の中に基質が充満し、そこに細胞が存在する。脂肪細胞が多く、細胞内部に中性脂肪を蓄える。身体の部位や栄養状態、年齢によって厚さが異なり、思春期移行の女性では特に発達している。外圧からの衝撃を和らげるほか、保温、栄養貯蔵などの役割を持つ。

皮膚の付属器官とその機能

脂腺(=皮脂腺)

皮脂を分泌する、皮膚の付属器官の一つ。毛包に付属し、手のひらと足の裏を除く全身に分布する毛脂腺と、毛とは無関係に皮膚の表面に直接開口している独立脂腺とがある。脂腺は外分泌腺であり、一般に男性ホルモンは脂腺を肥大させ、皮脂分泌を促進、女性ホルモンは脂腺を縮小させ、皮脂分泌を抑制する。

皮脂は脂肪、コレステロール、タンパク質、電解質などから成り、汗や角質層の分解物と混ざり合って皮脂膜を形成する。

汗腺

エクリン腺(=小汗腺)

体表のほぼ全体に分布して汗を分泌し、特に手のひらと足の裏に多く存在する。開口部は皮膚表面にあり、汗孔と呼ばれる。エクリン汗腺から分泌される汗は、体温調節や代謝産物を排泄する働きのほか、皮脂や角質層の分解物と混ざり合い弱酸性の皮脂膜を形成することによって皮膚表面の微生物の増殖を防止するなどの働きを持つ。

また、エクリン汗腺は自律神経の働きとも強く関わっている。発汗には、気温や湿度の上昇による温熱性発汗、辛いものを食べた際の味覚性発汗、緊張による冷や汗などの精神的発汗がある。このうち精神的発汗は、体温調節にはあまり関係がない。

アポクリン腺(=大汗腺)

腋窩、外耳道、外陰部、乳輪など特定の部位に分泌する腺。内分泌系の働きと強い関わりを持ち、思春期に急速に発達する。開口部は毛包の丈夫にある。

アポクリン汗腺から分泌される汗は粘性のある乳白色で、タンパク質や脂質を多く含み、生成直後は無臭だが、皮膚に存在する常在菌によって分解されると特有の匂いが発生し体臭の原因の一つとなる。この体臭が強くなった場合をワキガという。

また、アポクリン汗腺から分泌される汗には体温調節の機能がない。



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